交通ルールの順守は当たり前:車の安全運転に重要だけど皆ができていないこと

車両運転中の感情コントロールの重要性を物語る事故直前
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顧客への外回りが仕事のサラリーマンの方は多いと思います。

自分が現在所属している会社には営業担当者と呼ばれる顧客先を訪問するいわゆる外回りの仕事をしている社員が多くいますし、自分は外回りではありませんが、顧客先に出向いて作業をする仕事です。

そのため日常で社用車を運転しています。

会社の安全管理者からは常日頃から”安全運転をしよう”と注意喚起はされていますが、どのようにすれば安全運転ができるのかの指導はほとんどありません。

おそらく運転免許証を取得するときにすでに習っているだろうという前提のもとに話をしているからだと思います。

でも、毎年、事故や違反は発生しているので、注意喚起だけでは限界があるのではないでしょうか?

面白い文献を見つけたのでこれについて、サラリーマンとしてビジネスの世界で働いている立場から自由に考察したいと思います。


交通事故の原因の多くは、ドライバーの感情的な反応によるものです。

例えば、他の車両の不注意な運転に苛立ち、無理な追い越しをしたり、長時間の運転で疲労が溜まり集中力が欠けたりすることがあります。

これらの状況を避けるために、運転中の感情コントロールは非常に重要です。

東海学院大学の中井宏氏が発表した「運転中の感情コントロール教育プログラム」は、ドライバーがこれらの感情を認識し、適切に対処するための具体的な方法を提供していると思います。

営業車両を運転するサラリーマンにとって、このプログラムの有効性を知ってもらいたいです。

営業担当者は、日常的に多くの時間を車内で過ごし、厳しいスケジュールをこなさなければならないため、ストレスが高くなりやすい環境にあります。

感情のコントロールが車の安全運転と業務の効率性につながると思います。

東海学院大学の中井宏氏は、自動車運転中の技能と感情傾向の「見える化」を通じた安全教育の開発について研究を行いました。

この研究では、自動車運転中に自身の感情をコントロールすることが、安全運転のために重要な技能であると指摘しています。そのため、運転中の感情コントロール教育プログラムの試作版を作成し、バス乗務員への安全教育を実施しました

教育プログラムの作成にあたっては、面接調査と質問紙調査を行い、運転中のストレスは6種類に分かれ、4側面への影響が生じることが明らかとなりました。そして、74名の乗務員に対して教育を実施し、その有効性を検討しました

その結果、各ストレス反応が低減し、自己効力感が高まることが示されました。これにより、感情コントロールの重要性とその教育の有効性が確認され、安全運転に対する新たな視点が提供されました。

KAKEN — 研究課題をさがす | 自動車運転中の技能と感情傾向の「見える化」を通じた安全教育の開発 (KAKENHI-PROJECT-25870390) (nii.ac.jp)
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車両運転中の感情コントロール教育プログラムの概要

中井氏のプログラムは、運転中の感情をコントロールするための具体的なスキルを提供しています。

このプログラムは、以下のような複数の要素から構成されています。

  1. 感情の認識: ドライバーが自分の感情を認識し、何がその感情を引き起こしているのかを理解することが最初のステップです。例えば、他の車両が無理な割り込みをしたときに怒りを感じるのは自然なことですが、その怒りがどのように運転に影響するかを自覚することが重要です。
  2. 呼吸法: 深呼吸をすることで、身体の緊張をほぐし、冷静さを取り戻す方法を学びます。例えば、深呼吸を数回行うことで心拍数を落ち着かせ、冷静な判断を下すことができます。
  3. マインドフルネス: 現在の瞬間に集中し、過去の出来事や未来の不安から解放されるためのテクニックです。これにより、ドライバーは今の運転状況に集中でき、危険を回避しやすくなります。
  4. 認知行動療法(CBT): ネガティブな思考パターンを認識し、それをポジティブに変換する方法を学びます。例えば、他のドライバーの行動に対して「わざと嫌がらせをしている」と考えるのではなく、「もしかしたら急いでいるのかもしれない」と捉えることで、怒りを和らげることができます。
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感情コントロール教育プログラムの効果

安全運転中の運転者

感情コントロール教育プログラムの効果は、実際のデータや事例からも明らかです。

例えば、プログラムを受講したドライバーの事故率は、受講前に比べて大幅に減少しました。

また、参加者の多くが運転中のストレスが軽減され、全体的な運転パフォーマンスが向上したと報告されています。

具体的な事例として、ある企業でプログラムを導入した結果、社員の運転中のストレスレベルが平均で30%減少し、事故件数が50%近く減少したという報告があります。

さらに、プログラムを受けたドライバーは、運転後の疲労感も減少し、業務効率が向上したと感じています。

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営業車両を運転するサラリーマンに対する教育プログラムの実効性

営業車両を運転するサラリーマンにとって、感情コントロールは特に重要です。

外回りが多い担当者の場合、多くの時間を道路上で過ごし、頻繁に交通渋滞や予期せぬ道路状況に直面します。

これらのストレス要因は、感情の揺れを引き起こし、結果として運転ミスや事故の原因となることがあります。

営業担当者が感情コントロールのスキルを身につけることで、以下のような具体的な効果が期待できます。

  1. 事故率の減少: 怒りやストレスを適切に管理することで、無謀な運転や注意散漫による事故のリスクが減少します。
  2. 業務効率の向上: 感情が安定していることで、計画通りに業務を進めることができ、効率が向上します。
  3. 健康の維持: 長時間の運転によるストレスが軽減されることで、精神的・身体的な健康が維持され、病気のリスクも減少します。

感情コントロール教育プログラム導入の具体的な方法

頭をかかえる運転者

トレーニングセッションの実施

まず、運転者に対して定期的なトレーニングセッションを実施します。

このセッションでは、感情コントロールの基本技術を学び、実際の運転シミュレーションを通じて実践する機会を提供します。

例えば、シミュレーターを使用して、緊急事態や交通渋滞時の感情反応を管理する方法を練習します。

運転者への継続的なサポート

プログラムの効果を持続させるためには、継続的なサポートが不可欠です。

オンラインフォーラムやアプリを通じて、ドライバーがいつでも相談できる環境を提供します。

また、定期的なフォローアップセッションを設け、進捗状況を確認し、必要に応じて追加のトレーニングを行います。

トレーニング受講者へのフィードバックと評価

運転者からのフィードバックを収集し、プログラムの効果を定期的に評価します。

例えば、運転中の感情状態を記録する日記を付けるように指導し、それを元に個別のカウンセリングを行うことで、問題点や改善点を特定します。

このプロセスにより、プログラムの内容を適宜調整し、さらなる効果を引き出すことができます。

営業部を持つ企業への提案

楽しく運転をしている女性

現在、多くの企業では、営業車両を運転するドライバーに対して「運転に気を付けて事故率と違反率を少なくしましょう」といった一般的な注意喚起しか行っていない場合があります。

これだけでは、具体的に行動を替えてもらうことや感情のコントロールを促すには不十分です。

注意喚起以外の運転指導方法の提案内容

  1. 感情コントロール教育プログラムの導入: 上記の教育プログラムを導入し、ドライバーが具体的な感情管理の技術を習得する機会を提供します。これにより、ドライバーのストレス管理能力が向上し、事故率の低下が期待できます。
  2. 定期的なトレーニングとサポート: 定期的なトレーニングセッションとオンラインサポートを通じて、ドライバーが継続的に学び、感情コントロールのスキルを磨く環境を整えます。
  3. フィードバックシステムの構築: ドライバーからのフィードバックを収集し、プログラムの効果を評価するシステムを構築します。これにより、プログラムの改善点を特定し、より効果的な教育を提供することが可能となります。
  4. モチベーション向上のためのインセンティブ: 感情コントロールのスキルを実践し、事故率や違反率の低減に貢献したドライバーに対してインセンティブを提供することで、モチベーションを高める施策を導入します。

おわりに

運転中に驚く夫婦

「運転中の感情コントロール教育プログラム」は、営業車両を運転するサラリーマンにとって有効であると思われます。

このプログラムを導入することで、安全運転の実現と業務効率の向上が期待できるのではないかと思います。

ある企業ではプログラム導入後に事故率が50%減少し、従業員のストレスレベルも大幅に改善された例もあります。これにより従業員の健康状態も向上し、病気による欠勤が減少し、また、営業成績も向上し、企業全体のパフォーマンスが向上したという報告もあります。

現在、多くの企業では、営業車両を運転するドライバーに対して「運転に気を付けて事故率と違反率を少なくしましょう」といった一般的な注意喚起しか行っていない場合があります。

しかし、これでは具体的な行動変容や感情のコントロールを促すには不十分です。

感情コントロール教育プログラムの導入を通じて、運転者が具体的な感情管理の技術を習得し、より安全な運転を実現することが可能になると思います。

大切なのは、定期的なトレーニングや継続的なサポート、フィードバックシステムの構築を通じて、プログラムの効果を持続させることです。

また、モチベーション向上のためのインセンティブを提供することで、ドライバーの積極的な参加を促進し、プログラムの効果を最大限に引き出すことができます。

感情コントロールの重要性を再認識し、より安全で効率的な営業活動を目指していくことが、個々の運転者だけでなく、企業全体にとっても大きな利益をもたらすことになる思います。

企業は、ドライバーの安全と健康を守るために、具体的な感情コントロール教育プログラムの導入を検討するべきです。これにより、社員の安全性が向上し、業務効率が高まるだけでなく、企業全体のパフォーマンスも向上することが期待できます。

感情コントロールの教育は、一時的なものではなく、継続的な取り組みが必要です。企業が長期的な視野に立って、ドライバー教育を行うことで、より安全で持続可能なビジネス環境を構築することができるでしょう。このプログラムを通じて、企業と社員が共に成長し、安全で効率的な運転を実現する未来を築いていきましょう。