近年、認知症は近年、社会問題となっています。自分自身はまだ60歳にはなっていませんが、「若年性認知症」と呼ばれる65歳未満で認知症を発症する場合もあり、高齢者だけの病気として安心はしていられません。ちなみに認知症の患者は増え続け、2025年にはその数は700万人を超えるとされています。これは65歳以上の5人に1人が認知症になる計算です。
テレビ番組が訴える認知症に関する最新事実
最近、認知症を扱うテレビ番組を見ていると、認知症に関する最新事実を各テレビ局がとりあげています。
その最新事実とは、
偏った食生活は認知症につながる
ということです。
偏った食生活とは、焼き肉やステーキなどの肉食中心で、飲み物はクリームがのった甘いカフェラテを取り。間食にはポテトチップスなどのジャンクフードを摂っているような食生活のことのようです。
腸内細菌と認知機能との関連が解析された
偏った食生活の何がいけないのかといえば、詰まるところ「腸内細菌」がいなくなってしまうのが良くないということになるのですが、その「腸内細菌」と認知症との関連を見出した研究発表がされました。
腸内環境が認知症に影響? 国立長寿研が分析
国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)は30日、腸内の状態が認知症に強く関連があるとする論文を発表した。認知症の人は腸内に「バクテロイデス」という細菌が少なく、認知症でない人は多い傾向があった。同センターは「食生活や栄養環境の面で、認知症のリスクを減らす糸口が見つかるきっかけになる可能性がある」と話している。
調査は東北大、久留米大などと共同で手掛けた。16年3月~17年3月に同センターもの忘れ外来で受診した男女180人を対象に、便に潜む細菌のDNAを抽出し、腸内細菌の集合体「腸内フローラ」の構成を解析した。有効なデータを得られた69~81歳の128人分について認知症の発症状況と照合した。
その結果、認知症の人はバクテロイデスが少なく、種類不明の細菌が占める割合が多いことが判明。年齢や性別の影響を除いた上で、腸内フローラが認知症発症に与える影響の度合いを解析したところ、バクテロイデスが多い人は、そうでない人に比べて罹患(りかん)率が約10分の1になった。バクテロイデスが少なく種類不明の細菌が多い人はそうでない人に比べ罹患率が約18倍だった。
腸内細菌を巡っては、心疾患や糖尿病、肥満に与える影響が指摘されている。認知症発症との因果関係は不明だが、腸内の細菌状態が脳の炎症を引き起こす可能性が考えられるという。同センターはメカニズムの解明に向けて研究を続ける。
同センターの佐治直樹もの忘れセンター副センター長は「認知症の早期発見や予防を考える上で、腸内の細菌状態が目安になる」と研究の意義を話した。
論文は同日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)に掲載された。
(日本経済新聞より)
もの忘れセンターの佐治直樹副センター長らが、もの忘れ外来の受診患者さんから検便サンプルを採取・解析して、 腸内細菌は認知症と強く関連することを見出しました
(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター ニュース&トピックスより)
バイオ統計センター室谷健太准教授が、国立長寿医療研究センターの 共同研究者として、平成31 年1 月30日(水)厚生労働省にて研究成果 記者会見に出席しました。
(久留米大学 バイオ統計センター HP 新着情報より)
「バクテロイデス 」とは?
研究では、「痴呆群と非痴呆群の間の腸内細菌叢の比較 腸内微生物の各分類群の割合を比較し、バクテロイデスの割合は、非認知症群よりも認知症の方が有意に低かった。」ことが分かったそうです。
菌の分類には、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」があり、バクテロイデスは、日本人の腸内に多い細菌で、日和見菌に分類されます。日和見菌には、他の代表的なものに大腸菌(無毒株)・連鎖球菌があります。
日和見菌は健康なときはおとなしくしていますが、からだが弱ったりすると腸内で悪い働きをする(日和見菌感染症の発症)菌です。
ただ最近では、バクテロイデスには、内皮細胞の炎症を抑えるなど腸管免疫で重要な働きをすることも分かっており、人体に有用な作用が期待されています。
「バクテロイデス 」を増やす方法
糞便移植
健康なヒトの糞便を患者に移植するという治療法です。詳しくは「糞便移植」で検索してください。
「水溶性食物繊維」の食べ物を食べる
バクテロイデスなどの腸内細菌は「水溶性食物繊維」を食べて増えていきます。水溶性食物繊維が多く含まれる食品は、ゴボウやたまねぎなどの根菜類、キノコ類、ひじきやわかめなどの海藻類、納豆やオクラなどねばねばする食品です。
つまり、
野菜を食べよう
ということなんです。
先に述べた「偏った食生活」には、野菜ばかり食べる生活は含まれていないことになります。
野菜習慣の無い人はどうする?
普段の生活の中で十分な野菜を食べず、腸内細菌が増えるとは考えにくい生活をしている方は、とりあえずサプリメントから始めるのが良いと思います。
腸内細菌は認知症を防ぐだけでなく、糖尿病などの他の病気も防いだり、脂肪分解の役割もします。先にも述べたましたが、腸内細菌は「水溶性食物繊維」を食べて増えます。水溶性食物繊維はダイエットサプリにも含まれているので、とりあえず水溶性食物繊維を摂取する目的のためにダイエットからがんばってみるのも目標としてやりやすいかもしれませんよね。