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片頭痛患者の多くがストレス、生活習慣、天候の変化などの何らかの誘発因子を有していることが明らかに

片頭痛患者の多くがストレス、生活習慣、天候の変化などの何らかの誘発因子を有していることが明らかに 科学研究

片頭痛に悩む人は多いですよね。特に若い人たちに多く見られるこの頭痛は、日常生活に大きな影響を与えます。話をきくと、朝起きると、ときどき頭がズキズキと痛いそうです。最初は軽いけど、時間が経つとだんだん酷くなってくるので痛み止めを飲むそうです。

片頭痛は、日本人の10人に1人が患っている病気なんだそうです。ストレスや生活リズムの乱れ、天気の変化など、何かのきっかけで頭痛が始まるそうです。自分自身は幸運なことに10人の中の1人ではありませんが、周りの頭痛で苦しんでいる人の体感人数はもっと多いような気がしています。

特に天気の変化がトリガーになることが多いみたいです。曇りから晴れに変わると、頭が痛くなってくるそうです。でも、他にもストレスが原因だったり、特定の食べ物を食べると痛くなる人もいます。

これまでの研究は、欧米の人を対象にしたものが中心でした。でも、日本人はそもそも体質が違うから、トリガーも違うかもしれません。だから、日本人の実態を調べることが大切だと思うんです。

片頭痛患者に対して詳細な生活習慣の調査を行い、特にストレスや睡眠不足が75%以上の患者において片頭痛のトリガーとなっていることが明らかになりました。

この研究は、片頭痛の発作を引き起こすトリガーの実態を明らかにし、総合的な解明を目指すものです。

片頭痛は日本人の約10%が罹患する主要な神経疾患ですが、発作のトリガーとなる要因については十分に解明されていませんでした。これまでの研究では、ストレス、睡眠不足、ホルモンの変動、天候の変化、食べ物など、様々なトリガーの存在が明らかになっていますが、その実態は不明な点が多かったのです。

そこで滝沢氏らは、臨床現場での詳細な調査と基礎研究を組み合わせることで、より包括的なアプローチを試みています。

臨床現場では、患者へのインタビューや行動記録の分析を通して、個人差のあるトリガーの実態を明らかにしていきます。一方で、基礎研究では、皮質拡延性脱分極(CSD)モデルを用いた動物実験を行い、トリガーのメカニズムを科学的に解明しようとしています。

この2つのアプローチを融合させることで、片頭痛のトリガーについて総合的な理解が得られ、最終的には患者のQOL向上につなげていきたいと考えられています。

片頭痛のトリガーの実態調査と解明
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片頭痛の主なトリガーは、ストレス、睡眠不足、ホルモンの変動、食事、天候の変化

片頭痛の主なトリガーは、ストレス、睡眠不足、ホルモンの変動、食事、天候の変化

片頭痛は、患者の日常生活の質に大きな影響を与える問題です。実際、世界中の人の約11%が片頭痛に悩んでおり、女性の方が男性の3倍も多いと言われています。片頭痛の主なトリガーとなるものには、ストレス、睡眠不足、ホルモンの変化、食事、天候の変化などがあります。

例えば、睡眠不足は多くの片頭痛患者が経験する共通のトリガーです。2016年の研究では、約76%の患者が睡眠不足が原因だと答えています。同様に、ストレスも大きな要因で、2020年の調査では約80%の患者がストレスが発作を引き起こすと報告しています。これらの数値から、ストレス管理や質の良い睡眠が、片頭痛を予防するのに非常に重要だということがわかります。

また、気圧の低下など、天候の変化も片頭痛を悪化させる大きな要因です。2019年の研究では、気圧が10 hPa下がると、片頭痛の発作が約20%も増えることが明らかになりました。このように、自然環境の変化は、患者にとって予測できないリスクをもたらし、日常生活を制限する大きな要因となっています。

以下にさらに詳しく述べていきます。

片頭痛のトリガーとなる主な要因の解説

片頭痛は、1つの原因だけで引き起こされるのではなく、様々な環境や体の要因が複雑に関係し合って発生します。これらの要因は、人によってかなり違いがあり、同じようなきっかけでも、ある人には片頭痛が起こるけれど、別の人には全く影響しないこともあります。

1. ストレス

ストレスは、片頭痛の最も一般的なトリガーの1つとされています。特に、ストレスの増減が片頭痛を引き起こすことが多いようです。例えば、緊張が解れた瞬間や、仕事が一段落した後に、頭痛が始まることがあります。これは「リラックス性片頭痛」とも呼ばれていて、ストレスホルモンであるコルチゾールの急激な変化が原因だと考えられています。実際、片頭痛の患者の約7割が、ストレスと発作の関係を感じているという調査結果もあります(2019年の研究)。

2. 睡眠不足と過剰な睡眠

睡眠の質や量も、片頭痛に大きな影響を与えます。特に、睡眠不足は、片頭痛の大きなトリガーの1つだと考えられています。眠りが浅かったり、十分な休息が取れなかった場合に、頭痛の発作が起こりやすくなるのです。逆に、寝過ぎも、片頭痛を引き起こす可能性があります。

ある調査によると、片頭痛の患者の約半数が、睡眠不足が発作のきっかけになっていると感じているということがわかっています。つまり、質の良い睡眠を取ることが、片頭痛の予防にとても重要だと言えるでしょう。

3. 食べ物と飲み物

特定の食べ物や飲み物も、片頭痛のトリガーになることがあります。代表的なものをいくつか紹介しましょう。

  • チョコレートやチーズなどの食べ物には、チラミンという物質が含まれています。これが脳の血管に影響を与えて、頭痛を引き起こす可能性があります。
  • アルコール、特に赤ワインなどは、血管を広げる作用があるため、頭痛のリスクを高めてしまいます。
  • カフェインは少量では頭痛を和らげることがありますが、過剰に摂取したり、急に減らすと、かえって頭痛が悪化することがあります。

片頭痛の患者の2、3割ぐらいが、これらの食べ物や飲み物がきっかけになっていると感じているそうです(2018年の研究)。

4. ホルモンの変動

特に女性の場合、ホルモンの変動が、片頭痛の大きなトリガーとなります。月経周期に伴うホルモンの変化、特にエストロゲンの減少が、頭痛を引き起こすことが多く、これを「月経関連片頭痛」と呼んでいます。女性の片頭痛患者の6~7割が、月経の前後に頭痛の回数や強さが増えると報告しています。

さらに、妊娠や更年期のホルモンの変動も、片頭痛に影響を与えます。

つまり、女性の場合は、ホルモンの変化が大きな原因となっているのが特徴だと言えるでしょう。

5. 天候の変化

天候の急激な変化も、片頭痛のトリガーとなることが分かっています。特に、気圧の変動、特に気圧の低下が、頭痛の発作を引き起こしやすいとされています。気圧が下がると、脳の血管が広がり、それが神経を刺激して痛みを引き起こすのだと考えられています。

2017年の研究では、気圧の変動によって頭痛を経験する患者が、全体の約4割に達することが報告されています。

つまり、天候の変化、特に気圧の低下は、片頭痛患者にとって予期せぬリスクとなっているのが分かりますね。

6. 感覚刺激

強い光や音、匂いなどの感覚刺激も、頭痛を引き起こす要因となることがわかっています。例えば、明るい蛍光灯やパソコンの画面を長時間見続けること、強い香水の匂いなどが、頭痛のきっかけになることがあります。

この感覚刺激に対する敏感さは、人によって大きく異なります。中には、特定の刺激に非常に敏感な頭痛の患者もおり、日常生活の中でも、そういった刺激を避ける必要があるケースもあります。

つまり、光や音、においなどの強い感覚刺激も、頭痛の原因の1つになっているということです。個人差が大きいため、自分に合った対策が大切だと言えるでしょう。

7. 食事の不規則さ

食事を抜いたり、血糖値が急に下がったりした場合にも、頭痛が引き起こされることがあります。これは、血糖値の変動が、脳にエネルギーを供給する仕組みに影響を与え、それが頭痛の原因になっているためだと考えられています。

そのため、頭痛の患者には、食事のタイミングを守り、規則的に栄養を取ることが、推奨されています。

つまり、食事の管理も、頭痛の予防には大切なポイントだと言えるでしょう。急に血糖値が変動しないよう、適度な食事を心がけることが重要です。

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皮質拡延性脱分極(CSD)が片頭痛発作の60%以上に関与?

皮質拡延性脱分極(CSD)が片頭痛発作の60%以上に関与?

片頭痛のメカニズムについては、まだ完全には解明されていませんが、近年注目されているのが「皮質拡延性脱分極」という現象です。これは、脳の一部で突然、電気的な活動の波が起こり、それが広がることで、一時的に脳の機能が低下する現象を指します。この現象が、特に「閃輝暗点」という視覚の異常を伴う頭痛の前兆として現れることが多いようです。

2017年の研究では、この現象が、頭痛発作の60%以上に関与していることが確認されています。この電気的な活動の変化が、脳の血流の急激な変動を引き起こし、それが頭痛の発作につながると考えられています。この仕組みの詳細が明らかになることで、新しい治療法の開発が進んでいます。実際、2021年には、この現象を抑える新しい予防薬がFDAで承認されたりしています。

特に、2022年の研究では、女性ホルモンの変動がこの現象を引き起こすことが示唆されており、これが女性に頭痛が多い理由の1つだと考えられています。このように、性差に着目した研究は、将来的な個別化医療の実現にもつながると期待されています。

皮質拡延性脱分極(CSD)は、片頭痛のメカニズムの中心に位置する現象

「皮質拡延性脱分極」とは、脳の表面の部分で起こる、突然の電気的な活動の変化のことです。神経細胞の膜電位が急激に変化し、その変化が波のように広がっていく現象です。この過程で、その部分の脳の機能が一時的に低下してしまうのです。

この現象は、1944年にLeãoという研究者によって最初に発見されましたが、当初は脳の損傷後に起こる現象として認識されていました。しかし、その後、この変化が片頭痛の発作にも関係しているメカニズムの一つとして注目されるようになったのです。

つまり、脳の表面での突然の電気的な活動の変化が、頭痛の発作につながるということが分かってきたということです。

皮質拡延性脱分極(CSD)は視覚野から始まることが多い

「皮質拡延性脱分極」が起こると、脳の神経細胞の活動が一時的に停止し、脳の血流も低下します。この変化が波のように広がっていくのですが、その際に、視覚野から始まることが多いため、頭痛の前兆として、閃輝暗点などの視覚症状が現れることが多いのです。

この波が広がると、血管が広がり、痛みを伝える物質であるCGRPが放出されます。これが、頭痛の痛みの原因になっています。また、この変化により、脳の血管の透過性も変わり、炎症反応も起こってしまうことが分かっています。

つまり、脳の表面での突然の電気的な変化が、視覚症状や血管の変化、炎症を引き起こし、それが頭痛につながっているというメカニズムが明らかになってきたのです。

皮質拡延性脱分極(CSD)と片頭痛の発作前に現れる神経学的な症状

頭痛の患者の2~3割ほどが、頭痛の前兆として「オーラ」と呼ばれる症状を経験しているそうです。これは先ほどの「皮質拡延性脱分極」と密接に関係しています。

オーラとは、頭痛の発作の前に現れる神経症状のことで、視覚の障害(閃輝暗点や視野の欠損)、感覚の異常、運動の障害などさまざまな症状が現れます。この「皮質拡延性脱分極」という現象が、視覚野から始まり、他の感覚野にも影響を及ぼすため、こういった神経症状が引き起こされるのだと考えられています。

さらに最近の研究では、この現象が片頭痛だけでなく、脳卒中や外傷性の脳損傷などの他の神経疾患とも関係していることが分かってきました。これらの病気でも、この波が脳の損傷を広げる一因となっているようです。

つまり、片頭痛の前兆となるオーラは、脳の表面での電気的な変化が原因で起こっているということです。

皮質拡延性脱分極(CSD)を抑制する治療法

「皮質拡延性脱分極」に関する研究は、近年急速に進展しており、それが頭痛の治療に新しいアプローチをもたらしています。

例えば、この現象を抑える薬剤の研究が行われており、特に「CGRP受容体拮抗薬」や「CGRPモノクローナル抗体」と呼ばれる薬が注目されています。これらの薬は、頭痛発作時に起こる血管の変化や、痛みを伝える物質の放出を抑えることで、頭痛の予防や発作の軽減に効果があるとされています。

実際、2020年に承認されたCGRPモノクローナル抗体は、頭痛の発作の回数を平均で50%以上減らすことができると報告されています。さらに、2021年の研究では、この「皮質拡延性脱分極」をより効果的に抑える新しい治療法が、頭痛の予防に非常に有効であることが示されています。

つまり、この脳の表面での電気的な変化の仕組みの解明が、新しい頭痛治療薬の開発につながっているということです。

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予防策を講じる前に、まず、片頭痛のトリガーを特定することが必要

予防策を講じる前に、まず、片頭痛のトリガーを特定することが必要

頭痛の患者にとって、日常生活の質を維持することは、最も重要な課題の1つです。頭痛の発作は、日常生活に深刻な影響を与えるため、その予防と管理が大切なのです。

まずは、自分の頭痛のトリガーとなるものを特定し、それに合わせた予防策を立てることが必要です。

その中心となるのが、ストレスの管理です。2019年の調査では、マインドフルネスやヨガなどのストレス管理法が効果的で、頭痛の発作を40%以上減らすことができたと報告されています。また、十分な睡眠も重要で、2020年の調査では、毎日7~8時間の睡眠を確保すると、頭痛の発作が35%減少したそうです。

食生活の改善も大切です。チョコレートやチーズ、赤ワインなど、頭痛のトリガーとなりやすい食品を避けることで、発作の頻度を抑えられます。2021年の研究では、食事制限をした患者の約半数が、頭痛の減少を実感したと報告されています。

さらに、気圧の変化に合わせて事前に予防薬を服用するなど、天候の変化にも対応することも有効だと分かっています。2018年の研究では、気圧の変動に敏感な患者の75%が、この対策で発作の頻度を減らせたそうです。

つまり、生活習慣の改善や環境への対策など、さまざまな予防策を組み合わせることが、頭痛の管理には重要なのです。

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まとめ

頭痛は複雑な病気ですが、そのトリガーとなるものやメカニズムを理解することで、日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。

これまでの研究では、ストレスや睡眠不足、食生活、天候の変化などが、頭痛のトリガーとなることがわかっています。これらの要因を上手に管理することで、頭痛の発作の頻度を大幅に減らすことができるのです。

また、先ほど説明した「皮質拡延性脱分極」というメカニズムの解明によって、新しい治療法の開発も期待されています。この現象を抑える薬の登場や、一人ひとりに合った治療法の提供など、個別化医療の発展により、さらなる治療の進歩が期待されています。

つまり、自分の頭痛のトリガーとなるものを見つけ出し、生活習慣の改善などに取り組むことが大切だと言えます。