相続の手続きは平日の昼間しかできないと思っていた方がいいです。郵送で書類を送る場合は別です。相続の手続きを行政書士に依頼するとまあまあの金額が必要です。その代り、平日に会社を休んで手続きに行く必要はありませんし、書類の漏れでやり直すこともありません。自分は相続手続きを行政書士や会計士に依頼せず、自分自身で行いました。その時の経験です。
自分自身で相続手続きをする事が前提です
ここで記載しているのは、自分自身が窓口に出向いて得た情報です。相続税が改正される前でしたので若干の違いはあるかもしれませんが、それほど違わないと思います。事前に知っていると書類が足りなくて役所に出直しすることが減ると思いますよ。
手続きは平日しかできないし、1回で終わらないことが多い
被相続人とは?・・・相続財産を遺して亡くなった人のこと。
金融機関での相続の手続きは、当然ですが金融機関の営業日・営業時間中にしかできません。ただ、14時50分に入っても手続き業務が15時で打ち切られることはなく、その日に行うことができる手続きは全てできます。(大きな現金を受け取るような時には、この方が良いかもしれませんね。)
また、手続きは1日では終わらないことが多いです。
おそらく初日は、被相続人の死亡の報告と相続手続き書類一式の受け取りと、もし持っていれば被相続人と相続人の戸籍謄本の確認とコピーをしてもらうことができます。その後は相続センターへの郵送による手続きになることもありますが、現金で受け取りたい場合は、再度訪問する必要があります。
金融機関窓口で申請しないと、被相続人の口座は凍結されない
噂では役所に死亡届を出すと、全ての金融機関に連絡が行って口座が凍結されるとか、新聞の市民版の訃報に載せると、金融機関の人がチェックしていて口座が凍結されるなど、特に年配(60歳以上)の方に助言として言われましたが、実際には全くありません。
手続き中に訊いてみましたが、「役所から連絡が来ることはありません」と回答されました。新聞の訃報については、以前はチェックしていたことはあったようです。ただし、それは口座凍結のためではなく、それなりの資産家の方が亡くなったという情報を得たいためだそうです。(動く金額が違いますからね)
すぐに金融機関へ行くかどうか考えよう
被相続人が亡くなってすぐに金融機関の窓口へ報告にいくと、その場で口座は凍結されてしまい、相続人全員の印の押された書類を提出するまで一円も引き出すことができなくなります。つまり、公共料金を含めた引き落とし料金も引き落とすことができなくなります。引き落としができない場合、振込用紙が送付されてきますので、やることが増えてしまいます。
金融機関に行く前に確認しておいた方がいい事
全ての相続人は近くに住んでいますか?
自分自身で手続きをするのであれば、全ての相続人はできるだけ近くにいた方がいいです。兄弟姉妹だとしても、3人以上の場合は、相続遺産の分配方法について互いが納得しないと後で絶対にもめますので、被相続人が亡くなってからしばらくの期間は、会って話すことができる状態の方が良いです。
全ての相続人と仲は良いですか?
これはもの凄く大切なことです。全員がそれぞれ仲良くなくてもいいです。ただし、間に入ることができる兄弟姉妹がいることが前提です。そして相続遺産の分配を仕切るのは当然、あいだに入ることができる方がおこなった方がいいです。
金融機関に行く前にやっておいた方がいい事
被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍を揃える
被相続人の遺産を相続する場合、金融機関で求められるのが被相続人の「出生から死亡までの戸籍謄本」です。これは金融機関以外でも株式などの遺産を相続する場合は必要になります。
役所で被相続人の死亡届を出した時に、「出生から死亡までの戸籍謄本がほしい」と窓口で伝えれば、申請用紙への記入方法をおしえてくれます。「出生から死亡までの戸籍謄本」と伝えれば、除籍謄本も発行されるはずです。
あと、自分自身の「戸籍全部事項証明書」を貰っておきましょう。被相続人の遺産の相続人を証明するために必要です。
遺産分割協議書は、のちのち役に立つと思う
すぐに手を付けなければいけない遺産でなければ、身の回りが落ち着くまで金融機関の口座はしばらく放置しておいた方がいいと思います。できれば遺産分与について話をして、遺産分割協議書にまとめて相続人それぞれで実印を押しておきましょう。兄弟姉妹間などの家族内での相続であれば可能だと思います。ちなみに金融機関で分割協議書で手続きしようとしても、良くてコピーを取られるぐらいです。
金融機関の窓口に出向き死亡を知らせる
最近では、それなりの金融機関の支店でも入店すると「ご用件は?」と訊かれますので、「相続の手続きがしたいのですが・・」と伝えれば、あとは行員の方が窓口へ連れてくれて説明してくれます。
金融機関ごとに申請書がある
相続の手続きの説明後、金融機関から相続の手続き用紙が渡されます。それは金融機関で作成された専用手続き用紙のため、そこに被相続人・相続人・口座の情報を記載することになります。また、書類には全て実印が必要で、印鑑証明書も添付しなければなりません。
遺産分割協議書は、金融機関には『 参考書類 』の扱いにしかされません。金融機関の専用手続き用紙が全てです。
戸籍全部事項証明書と印鑑証明書
相続人全員の戸籍全部事項証明書と実印とその印鑑証明書が必要になります。通常、発行から3ヶ月か6ヶ月以内しか有効になりませんので、金融機関に確認しましょう。実印を持っていない人はこれを機会に印鑑屋で購入して役所で登録しましょう。
被相続人の「出生から死亡までの戸籍謄本」は先に確認してもらおう
戸籍全部事項証明書と印鑑証明書もそうですが、窓口は原本で提出です。ですが、金融機関が原本で提出させる理由は、「原本で確認しなければいけない」ためです。金融機関に保管する提出書類はコピーでかまいません。
金融機関で証明書類を渡す時に、忘れてはいけない言葉
証明書類の提出する時に窓口で必ず伝えないといけないことは、
「確認後、原本は返却してください。」
です。これを伝えず、まして何も言わないと原本を回収されてしまいます。「原本の返却」を伝えると、金融機関は内容を確認後、コピーを取ります。もし追加で伝えることができるようであれば、「コピーを取る時にはホッチキスは外さずにお願いします。」と伝えましょう。ホッチキスで止められている証明書は、厳密にはホッチキスで止められている状態が証明書の状態です。ホッチキスを外したことが確認できてしまうと証明書としての効力が無くなってしまいます。(実際のところ、いくつかの金融機関ではホッチキスを外してコピーしていました。最後の金融機関で確認してもらう時に、書類の順番が入れ替わっていて、その時に担当の方から伝えられましたが、結局は受け付けてもらえましたけどね。)
相続人のうち一人の口座に一括入金か現金渡しになるよ
相続人の中に、そこの金融機関口座を持っている人がいれば、そこの口座への振り込みを勧められると思います。もし口座を持っていない場合は、口座を作成するか、現金で渡されることになると思います。
金融機関によっては、他の金融機関に振り込みが可能なところがあるかもしれませんので相談してみてください。
銀行口座の預貯金凍結でトラブルが増加中?
ある情報媒体に、葬儀費に充てる予定で銀行の窓口へ行ったら「葬儀費の請求書と親族の印鑑が必要」と断られたトラブルが載っていました。葬儀費用を亡くなった本人の口座からおろそうとしたからだと思います。その時に、口座名義人が死亡したことを銀行に伝えてしまったのでしょう。銀行は、名義人が亡くなったことを知ったその時点で口座の預貯金を凍結します。正しくは、「口座名義人が亡くなった時点で、口座の預貯金は相続財産になり、口座は凍結される」ということです。これが前提となっているので、被相続人が亡くなって、真っ先に知らせて、口座引き落としなどの現実にさらされることでトラブルになってしまうということなのでしょうね。
葬儀費などの急を要する支出に対しては、手続きが終わる前でも金融機関が便宜的に応じることもあるらしいですが、自分の経験ではそんな雰囲気はありませんでした。
また、2016年12月の最高裁の判断により、被相続人の預貯金は厳密に相続人全員の合意が必要という流れになっているようで、これによって銀行による便宜的な支払は難しくなるということです。
死亡を知らせなければならない期限は無い?
被相続人が死亡した時に、役所に死亡届を提出する期限はありますが、金融機関などに知らせなければいけない期限は無いはずです。「口座名義人が亡くなった時点で、口座の預貯金は相続財産になり、口座は凍結される」ことは知っておかなければいけません。
自分の時は、公共料金やもろもろの引き落としなど、ある程度落ち着いてから金融機関の手続きをしました。そのためにも相続人同士仲良くやっていかなければいけません。