所有しているマンションを売却する時に、販売価格と仲介業者を決めることに労力を使います。販売価格を決めても仲介業者を決めることはできませんが、仲介業者が決まれば販売価格はおおよそ決定します。
何度も書きますが、仲介業者の査定価格=売れる価格ではありません。販売価格の決定権はマンションを所有している貴方自身にあります。仲介業者は過去のデータから販売価格を導きだしているだけで、現在の購入意欲とか購入意識のデータは入っていませんし、首都圏のマンション価格のデータを地方都市のマンションの査定に当てられても査定価格が上がってしまう結果になるだけです。
新築マンション購入に対する意識調査
2017年1月にスタイルアクト株式会社から「第36回マンション購入に対する意識調査」が公表されました。(※この意識調査は新築マンションを検討しに販売センターへ行った方へのアンケート結果です。中古マンションの購入意識とは別です。)
本調査は、スタイルアクト株式会社のインターネットサイト「住まいサーフィン」の登録会員のうち、直近3か月間に新築マンションの販売センターに行った経験がある方のみを対象として実施した「マンション購入に対するアンケート」です。供給者側の分譲価格・初月契約率・在庫数は公表されておりますので、弊社では、“購入検討者の心理”を四半期単位で時系列比較しております(第1回は2008年4月、今回で36回目)。
【調査期間と回収サンプル数】2017年1月5日~10日(199件)
【調査地域】全国今回の調査では、マンション購入意欲が増したとの回答は42.2%と、前回(2016年10月)調査時より10.6ポイント増加しました。また、購入検討の動機に「住宅ローン金利の安さ」を挙げる人が46.7%と、前回調査時より微増しました。住宅ローン金利が過去最低水準で推移しており、一般消費者も購入環境としては悪くないと考えていることが分かります。
ただし、現在のマンション価格を「高い(購入を諦めるほど+ためらうほど)」と回答した割合が67.8%で、「高い」との回答は2015年7月以降6割を超え続けています。また、購入したいマンション数が「0件」との回答も、4割と高い水準となっています。
購入意欲の増加と住宅ローン金利の水準に後押しされ、マンション買い時DI(※1)は-16.1ポイントと前回より11.5ポイント回復しました。しかしながら、マンション価格は相変わらず高く、そのうえ購入したいと思えるマンションも少ないと購入検討者は感じているようです。今後、デベロッパーサイドは、購入検討者に「買いたい」と感じてもらえるマンションを供給できるかどうかが課題となります。
(※1)買い時DI:マンションを「買い時だと思う」の数値から「買い時だと思わない」の数値を差し引いて算出した値。
※この調査結果の詳細は、住まいサーフィンでもご覧いただけます。
アンケートは四半期ごとに行なわれているため、第36回は2017年1月、第35回は2016年10月、第34回は2016年7月のアンケート結果です。
アンケートの結果では、2015年7月の第30回の調査から第36回の今回までずっと、現在のマンション価格を「高い(購入を諦めるほど+ためらうほど)」と回答した割合が6割を超えています。また、2016年10月の第35回から続けて、購入したいマンション数が「0件」との回答している方が4割を超えています。
新築マンションは高い(ロケーションや専有面積、設備仕様と比較して)という印象を持っている方が増えているということがわかります。新築マンションの購入を止めて、中古マンションの購入を検討している方が増えていると予想できます。
中古マンションの成約・在庫価格推移
公益社団法人中部圏不動産流通機構(通称、中部レインズ)には、中部圏市場動向として中部レインズに登録されている物件情報を、各県別及びその主要都市(県庁所在地)ごとに集計してあります。戸建て・マンション別に、その面積・築年数から集計し、その土地ごとの平均価格・平均面積を知ることができます。
公益財団法人の不動産流通機構は他にもあります。
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構( 首都圏不動産流通市場の動向 )
(東日本地域1都1道15県)
- 公益財団法人 近畿圏不動産流通機構( 不動産市場動向について )
(近畿圏2府4県)
- 公益財団法人 西日本不動産流通機構( 市場動向データ県別等レポート )
(西日本地域17県)
自分自身が住んでいる愛知県の「中古マンション成約・在庫価格推移」のデータを見てみます。
在庫マンションの件数(件)、㎡単価(万円)、平均価格(万円)、平均面積(㎡)の4つ全てが1年前と比べると増えています。過去2年分を見ても在庫マンションの「㎡単価」は上がり続けています。しかしながら成約マンション数は増えていませんし、成約㎡単価が在庫㎡単価よりも低い状況です。高値で売却に出したけれど、売れずに残ってしまっていることだと思われます。
中古マンションの売買の動きが多い月
成約・在庫価格推移を見るとはっきりするのですが、一般には2~3月の春の幼稚園や小・中学校に入学するタイミング、9~11月の秋の転勤などの異動のシーズンに不動産の取引が活発になります。この時期以外でも売買はされていますので、あまり関係ないかもしれませんが、取引が活発の時の方が購入意欲が高まりますので、少々価格が高くても売れる可能性はあると思います。(ちなみに自分が所有しているマンションは、1月に購入の申し込みがあり2月に契約に至りました。)
中古マンションを購入する場合、新築マンションと違って“ 抽選 ”システムはありません。購入申込書を出した早い者順です。取引が活発になっている時には、他のマンションと迷っている間に、他の購入希望者が申込書を出してしまう可能性があるため、少しだけ売り手市場になるのではないでしょうか。
マンション購入者のトレンドを知ろう
自分自身が専任媒介契約をした仲介業者は、新築マンションの販売もしており、名古屋市内に限定した最近のマンション動向として「駅に近くて通勤に便利なマンション」が人気のようです。現在または今後建設されるマンションのチラシを見ていても「駅近」は必須条件となってくるような気がします。
貴方が所有しているマンションは、購入者の希望条件のトレンドに入っているかを含めて価格を決めると少しは売れやすくなると思います。
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