中古マンションを購入する際、購入希望者は「買付証明書」を作成し、仲介業者を通じて売り主に提出することが一般的です。「買付証明書」には購入希望価格を記入し、署名・捺印を行うため、購入の意思が明確に示されます。売り主も仲介業者を通じて手続きを進めるため、契約成立の可能性があると判断し、交渉を開始します。
しかし、私自身の経験として、売り渡し承諾書を渡した直後に、申し込みが撤回されたことがあります。具体的な交渉もなく、条件が折り合わなかったという理由ではなく、一方的な撤回でした。しかも、すでに値引き交渉の指値を提示していたにもかかわらず、このような状況になったのです。これは売り主にとって大きな影響を与えかねない行為です。
申し込み後の撤回はできますが・・
購入の申し込み後に、撤回を希望することもあるかもしれません。売買契約の締結前に、支払いや引き渡しの条件が合わなくなることが、一般的な理由として考えられます。申込証拠金を支払っている場合は、返還されることもあるかもしれません。
私自身の経験として、「買付証明書」を受け取り、その日に「売り渡し承諾書」を作成しました。しかし翌日、仲介業者を通じて「申し込みを撤回したい」と伝えられました。その理由は「身内からの反対」でした。こうした身辺の事情については、仲介業者が「買付証明書」を作成する際に事前確認を行っているはずなので、一度は「問題ない」と判断されていたと思います。それにもかかわらず、身内の反対を理由にすぐに申し込みを撤回するのは、あまりにも不誠実な態度ではないかと感じました。
購入の申し込みを受け取った仲介業者がすること
署名・捺印された「買付証明書」が作成されると、仲介業者はすぐに動き始めます。オープンハウスを開催していれば途中で終了する可能性があり、売り主には「売り渡し承諾書」の作成を依頼し、必要な書類の準備が進められます。また、不動産情報サイトに掲載されている場合、公正取引のおとり広告に抵触しないよう、すぐに掲載を停止することもあります。
しかし、申し込みが撤回されると、不動産情報サイトへの再掲載に時間がかかる上、条件が合わなかったわけではないため、売り主への精神的なダメージは大きくなります。特に、「やっと売れた」と感じていた場合、その影響はさらに大きいでしょう。
売り主の立場からすると、条件交渉も行わずに購入の申し込みを撤回される行為は不誠実と感じられます。最初から購入の意思がない冷やかしの申し込みではないかと思ってしまうこともあるでしょう。購入希望者は申し込みの際に慎重な判断を心がける必要があります。
購入の申し込み前のかけ引きが良い結果になるとは限りません
これは、契約に至った申し込みを受けた際の話ですが、仲介業者によると、他にも購入を検討していた方がいたそうです。その方は事前に住宅ローンの仮審査を受けながらも、仲介業者には「他にも検討している物件がある」と伝えていました。そして、今回契約が成立した購入希望者からの申し込みがあったことを知った後に、「この物件にほぼ決めていた」と仲介業者に伝えたそうですが、その時点ではすでに契約が進んでおり、間に合いませんでした。
中古マンションは早い者勝ち
新築マンションとは異なり、中古マンションでは、申し込みの早い購入希望者が交渉の優先権を持ちます。売り主との条件が合わず契約に至らなかった場合、次の購入希望者に交渉権が移ります。そのため、営業担当者から「この物件は人気なので、今日中に申し込まないと別の方が購入してしまうかもしれません」といった促しを受けて急いで申し込みをすると、売り主とのトラブルに巻き込まれる可能性があります。実際、私自身もそうした経験がありましたが、担当者は誠実な対応をしてくれる方だと信じています。
信頼できそうな仲介業者を通じて購入しましょう
新築マンションと違い、中古マンションはじっくり考えていると別の方が買ってしまうというリスクがあります。ですので、興味が持って欲しい中古マンションが見つかった場合は、短期決戦と考えて、希望の条件を営業担当者に質問して、その質問が早く返ってくるのかも含めて仲介業者の信頼度を測ってください。